石川直樹×warukoni編集長 パート1

どうもこんにちわ。katieです。
寒くなりましたねー。どうやら、11月下旬の寒さらしいですよ。
お風邪など召されないように気をつけてくださいね。

さて、それはまだまだ残暑厳しい8月中旬のこと。
『リクウ』の編集の方向性や著者の方々が決まりはじめたある日、 apbankが運営するカフェ「kurkku」にて、昔からの知り合いであるという、作家であり写真家でもある石川直樹さんと『リクウ』編集長の小西さんがオーガニックコーヒーを飲みながら熱い意見を交わしていました。

世代は違えども、世界中を旅したお二人が共通して感じる想いはまさに「自然」「和」「成熟」がテーマの『リクウ』のコンセプトそのもの。

ワクワクしながら伺っていたお二人のお話から、「なぜ『リクウ』という雑誌が生まれたのか?」という本質に迫りたいと思います。


「世代を超えて、共感される、普遍的な雑誌があってもいい」



石川直樹(以下石):小西さんとは、だいぶ前からの知り合いですよね。僕が大学生の頃だから7、8年前かな。

warukoni編集長(以下koni):今は芸大の大学院にいるんだっけ?

石:そうですね、博士課程の2年目です。その一方で、世界をいろいろ歩き回っていますよ。同級生とはちょっと違った生活スタイルかもしれません(笑)。

koni:結局、飛び抜けちゃってるんだろうね。でも石川君世代(29歳)って、おれの年(48歳)よりかなり若いわけじゃない。どうして『リクウ』のこのコンセプトに引っかかってくれてるのかな?

石:最初、小西さんから『リクウ』の話を聞いたとき、「ああ、おもしろそうな雑誌だな、読んでみたいな」と思いました。例えば松岡正剛さんたちの一番新しい文章が読めて、ビジュアル的にも優れていれば、それは手にとってみたくなりますよね。他の執筆陣も、雑誌にはなかなか書いてくれるような人たちではないじゃないですか。最初の号でそういうメンバーが集まっていると聞いて、何が読めるのかなと楽しみにしています。自分が昔から刺激を受け続け、尊敬してきた人たちが多いですから。みんなそれぞれひと癖もふた癖もある人たちなのに、よくこれだけ集められたなと(笑)。


(右:石川直樹さん 左:……なし崩し的に本邦初公開のwarukoni編集長です。)
koni:なんだかコンセプトに共感してくれる人が多いんだよ。クライアントも著者も。アートディレクターは坂川栄治さんなんだけど、彼も全面的に手伝いたいと言ってくれた。でもさ、石川直樹世代って、普通に暮らしていたらこんなコンテンツに触れていない人たちが多いんじゃない?

石:そうでもないですよ。『リクウ』は、ぼくの友人たちにとっては普通に興味のある著者と内容だと思います。“新しい人”のためのメディアですよね?世代を超えて、鋭いメッセージを発信していってほしいです。

koni:いいね、そのよいしょ。でもさ、世代別で雑誌を区切ること自体が意味のないことなのかもね。

石:テーマが普遍的なら、世代なんて飛び越えられますよ。

koni:もちろん、普遍性もあるけど、やはり今、環境や自分らの文化を守るということに対して、みんなそろそろやっとかないとっていう機運が高まってきている気もする。一応ターゲットは40代オトコっていってるのね。そこそこ仕事もやってて、若い頃は『ポパイ』とか『ブルータス』とか読んでいて……ぱっと見チャラチャラしてるんだけれどそれなりに国際人の感覚もあり世渡りが上手い……みたいな。新しい雑誌を作るときって、やたら「ターゲット」とか「読者像」みたいなものを周りは求めるんだけど、おれはどうでもいいやと思いつつも、最近はそんな人たち増えてるのかなあって。


石:今、その世代が読むカルチャー誌ってないですよね。あっても、はたから見ていると「うーむ」なものばかりです……。

koni:ブンカテキってこと自体がギャグっぽいかも。見本つくってみて昔の『SINRA』って雑誌にちょっと近いイメージかなって言われた。『リクウ』はこれをもっとスタイリッシュにして、「和」の要素を入れてる感じかなあ。自然系の雑誌がキツイのは、椎名誠さんとか池澤夏樹さんとか、そういう書き手の下の世代が育たなかったからだとも言われている。受け継いでいくナチュラルライフという文化がこの国にはないとかさ。

それでも石川君の世代には、また出現するんだよね。今のapbankや若手のミュージシャン達とか。40代オトコに読ませたい、読んでいる雑誌、というと週刊誌かエロ系か、ムフフ系か。『GQ』とか『LEON』とかまわりは言うんだけど、それじゃあバリエーションが少なくて寂しいじゃない。色んなことを知って、成熟しつつあるこの世代に、これらとは別のアプローチで雑誌の楽しみを提案したい。自然と共存しつつも、押し付けがましくない自然体でかっこいいライフスタイル。これを大人の男性が実現することがかっこいいと思う。

今までも泥臭い田舎志向、スローライフ志向ってのはあったと思う。どろどろの作業着をきて、家庭菜園で自給自足……ってのもいいけれど、どこかしら言葉にすると陳腐だけど「スタイリッシュさ」とか「かっこよさ」がないと。田舎暮らしにもかっこいい/かっこわるいはあるけど、とりあえず言えるのは、横文字雑誌読んで、鵜呑みにして、ぎらぎらした皮のジャケットを雑誌見て問い合わせて着て……ってのはかっこわるいでしょ。それよりも森に行ったらブナとミズナラの違いが分かったり、どんぐりを見分けられたりするやつのほうが素敵。友達になれそうだもの(笑)。

<つづく>