石川直樹×warukoni編集長 パート2!

こんにちわ。katieです。
石川さんと編集長の対談いかがでしたか?
パート2をお届けする前に、今回対談に応じていただきました石川直樹さんについて、katie勝手にご紹介しちゃいます。
ご存知の方も多いかと思いますが、7大陸最高峰登頂を達成するなどの冒険家であり、記事の執筆や写真撮影もご自分でこなされている多才な方です。
プロフィールはこちら↓。

石川直樹
冒険家/写真家

1977年東京生まれ。2000年、Pole to Poleプロジェクトに参加して北極から南極を人力踏破、2001年、7大陸最高峰登頂達成。人類学、民俗学などの領域に関心をもち、行為の経験としての移動、旅などをテーマに文章・写真作品を発表し続けている。著書に、『この地球(ほし)を受け継ぐ者へ』(講談社)、『大地という名の食卓』(数研出版)、『すべての装備を知恵に置き換えること』(晶文社)、『いま生きているという冒険』(理論社)。写真集に、『POLE TO POLE 極圏を繋ぐ風』(中央公論新社)、『THE VOID』(ニーハイメディアジャパン)がある。東京芸術大学大学院美術研究科博士課程在学中。多摩美術大学芸術人類学研究所研究員。

そう、わたし、お会いして、「こんなに若くて、スマートな方とはっ!」と驚いてしまいました。いや、別に筋肉やまもりで暑苦しそうな人にちがいない、と思っていたわけではないのですが……。なんていいますか。自分をしっかりと持っているのに、あくまで自然体って感じなのです。

オフレコ部分で、warukoni編集長のツッコミやチャチャもさらりとかわす石川さん、とても素敵でした!

さて、お待たせいたしました。

対談パート2、どうぞお楽しみください。

「若い頃から海外慣れした奴がとらえる『和』のほうが本質的かもしれない」


koni:この雑誌は「自然」「和」「成熟」が3つのテーマなんだけど、その中でもまず「和」について語りたいと思う。おれなんか学校出てから、日本で居場所がなかったからずっと海外放浪みたいな生活してて、ほとんどの国行っちゃって、地球上で最後に行ってないところが南極だったんだけど、それも15年前に行っちゃったから、もうガイコクいいやって(笑)。居場所がなかったけど、ずっと日本が一番好きなのね。だからこそ、強く「日本」を意識したコンセプトが自然と立ち上がってきた。


石:自分も似たような感覚はあります。小西さんの学生時代はまだ外国って遠かったと思いますけど、今の20代30代の人なんかは海外旅行なんてほとんど隣町に行くような感覚だから、行きたくない人は全然興味をもたないですよね。わざわざ隣町に行ってもなあ、という感じ。海外は特にあこがれではない。かといって日本かといわれても困る。ぼくなんか、個人的にはガイコクもニホンも、日常も非日常もないですよ。どこであれ、いま生きている瞬間の積み重ねが日常になっていす。贅沢といえばそうかもしれませんが、妙な閉塞感があるよう気もします。


koni:だから南極行ってビンソンマシフに登ったりしたの?


石:小西さんの南極記を読んだからかな(笑)


koni:若き石川直樹に多大なる影響を与えた(笑)。でも若いころ海外にぼーんと出ちゃった奴の目線で捉えた「和」のほうが「和」っぽいというか、本質ついてるなって感じるよ。外国生活が長いと、だいたい日本が好きになるっていうでしょ。問題山積だけど、きっといろいろとよくできた国なんだよ、いいかげんでさ。外国なんか知らないよ、って若い子たちが、無自覚的に和のファッション着てるでしょ、このごろ。
あれ面白いなあって思ってる。ガイコクの服なんか着なくっていいじゃない。着物を着ましょう、このほうが気持ちいいしお洒落って、知らない間に身にまとっているのね。それがメイド・イン・チャイナだったりするんだけどさ(笑)。


石:色んな国を歩いてきましたが、客観的に比較しても日本は「面白い」と思える側面がたしかに多くあると思います。まあ、どこの地域も深く見ていけばそうなんでしょうけど。


koni:多様性なんだよね。日本ってその多様性を大事にしていたのに、戦後の急激な欧化とか画一化でその良さが消えてしまった。それに対する反動というものがある気がする。今になって、それが起きているのかもしれない。砂漠や南極にいくと、もう圧倒的にシンプルな自然しかなくて、それはそれで感動モノなんだけど、日本人のおれは、ずっとそんなとこにゃいられないよ。


石:そうですね。冒険家なんて呼ばれますが、なにも辺境の地や極地ばかりが好きなわけではありません。一応、日本列島という島々の連なりのなかで生まれていますから、春夏秋冬もあって、森も山も川も海もあって……。広葉樹林の森のなかにいるとなんだか落ち着きますよ。


koni:日本再発見って大上段に構えるつもりはないけど、「新日本様式」というプロジェクトがあってさ、『リクウ』はそこで選ばれるジャパン・ブランドを独占記事にするの。


石:新日本様式?


koni:要するに、日本のプロダクツが国際的な、競争力を失ってきていると。安くて取り替えが効くものは人件費の安い国でがんがん作られる。日本はこれにはかなわないので、将来に向けて独自のプロダクトを売っていこうと。しかも大量消費財ではなく、職人の手技というか日本独自のクラフトマンシップなどの伝統文化を現代に生かしてブランド化する。この秋から、その認定を既存の商品やサービスにも対して始めようとしている。『リクウ』誌上では16ページ、それに選ばれた商品を載せる。新聞発表と同時に、雑誌ではうちで独占的に紹介するの。


石:コンセプト的にはぴったりですね。でも、日本にこだわるっていうと、あまり海外の記事はないんですか?


koni:いやいや、やるんですよ。日本をよく知るためにね。実はこの前C.W.ニコルさんと英国の森にいったんだけれど、これが日本の状況とリンクしている。産業革命以後、森を乱伐したために「大英帝国」は落日の憂き目を見たという。それはいけないということで、森や環境を取り戻そうとしている。次のロンドン・オリンピックの基本になるっていうんだ。日本もこれに学ぶことは多いんじゃないかっていうね。いろいろな世界を見て、最終的に「日本」に立ち戻ってくる……いう意味での「和」だからね。<つづく>